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著作権侵害はどう判断する?作品の類似性と生成 AI の侵害リスク

ホーム » チュートリアル記事 » 著作権侵害はどう判断する?作品の類似性と生成 AI の侵害リスク
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2026/09/10

著作権侵害の判断や作品の類似性、生成AIによる著作権侵害リスクを解説する記事のカバー画像。

目次
  1. 他人の作品を使ったら著作権侵害になる?まず確認したい判断ポイント
  2. 各国でも日本と同じように著作権侵害を判断する?
  3. 生成 AI、画像編集、文章の書き換えは著作権侵害になる?3つのリスク
  4. 著作権侵害が成立すると、どのような責任が生じる?
  5. 著作権侵害を指摘されたら?最初に確認したい3つのステップ
  6. AIで創作方法が変わっても、著作権侵害は個別の事情から判断する

他人の画像や文章、イラストなどを利用したからといって、直ちに著作権侵害になるとは限りません。一方で、元の作品に手を加えたり、生成 AI で書き換えたり、新しいコンテンツを生成したりすれば、必ず著作権侵害を避けられるわけでもありません。

著作権侵害を考えるときは、単に「似ているか」「AI を使ったか」だけで結論を出すのではなく、まず著作権で保護される作品や表現があるか、どのような利用行為をしたかを確認する必要があります。さらに、既存の作品をもとにしたことが問題となる場合には、保護される表現との関係を検討し、利用許諾や権利制限規定が関係するかも確認します。

生成 AI を使う場面でも、この基本的な考え方は変わりません。ただし、既存作品を AI に直接入力する場合、既存作品を参考に画像や文章を生成する場合、元作品を直接入力していないのに似た生成結果が出た場合では、確認すべきポイントが異なります。

他人の作品を使ったら著作権侵害になる?まず確認したい判断ポイント

著作権侵害の可能性を考えるときは、「他人の作品を使った」という一つの事実だけで判断するのではなく、少なくとも次の点を分けて確認することが重要です。

  1. 著作権によって保護される著作物や表現があるか

  2. その著作物について、実際にどのような利用をしたか

  3. 著作権者から許諾を得ているか、または権利制限規定が適用される可能性があるか

  4. 既存作品をもとにしたことが問題となる場合、保護される表現との間にどのような関係があるか

著作権侵害の判断について、保護される著作物や表現、依拠性、類似性、許諾や権利制限などの確認ポイントを整理した図。

著作権が保護するのは、アイデアやテーマそのものではなく、著作物として表現された創作的な表現です。そのため、題材やコンセプトが共通しているという理由だけで、直ちに著作権侵害になるわけではありません。

反対に、元作品に変更を加えたという理由だけで、著作権上の問題がなくなるとも限りません。

複製や翻案など、実際に何をしたのかを確認する

著作権侵害を判断するときは、最終的な作品が似ているかを見る前に、既存の著作物について何をしたのかを整理することが重要です。

例えば、インターネット上の画像を保存して利用する場合と、その画像をもとに変更を加える場合、さらに完成したコンテンツをウェブサイトなどで利用する場合とでは、問題となる利用行為が同じとは限りません。

日本の著作権法では、著作権者に複製権や公衆送信権などの権利が認められており、既存の著作物を翻訳、編曲、変形、脚色などして二次的著作物を創作することについても翻案権が問題となり得ます。

したがって、「少し変更したから大丈夫」「AI を通したから新しい作品になった」といった形式的な理由だけで結論を出すことはできません。

具体的な利用行為と、利用された著作物の内容を分けて確認する必要があります。

作品が似ている場合は「類似性」と「依拠性」が重要になる

既存作品をもとに後の作品が作られたのではないかという争いでは、日本では類似性と依拠性が重要な判断要素になります。

ここでいう依拠性とは、単に先行する作品を見る機会があったという意味ではありません。後の作品が既存の著作物をもとにして創作されたかどうかという問題です。

そのため、先行作品に接する機会があったことは依拠性を考えるための事情になり得ますが、それだけで依拠性が認められるとは限りません。

類似性についても、「何となく似ている」「雰囲気が近い」というだけで判断するものではありません。著作権で保護される創作的な表現について、既存作品の表現上の本質的な特徴を直接感得できるかなどが問題になります。

例えば、二つのイラストがどちらも「カフェでコーヒーを飲む猫」を描いていたとしても、そのテーマが同じというだけで著作権侵害になるわけではありません。アイデアや一般的な題材ではなく、具体的にどのような表現が利用されたのかを見る必要があります。

また、既存作品とは無関係に独自に創作されたのであれば、結果として似た部分が生じたというだけで直ちに著作権侵害になるわけではありません。

各国でも日本と同じように著作権侵害を判断する?

著作権制度が異なっていても、「後の作品が先行作品の保護される表現を利用したのか」という問題は多くの国で生じます。

ただし、その判断に使われる法律概念や証拠の評価方法まで同じとは限りません。日本の「類似性」と「依拠性」を、他国の用語にそのまま置き換えることはできません。

国・地域作品の類似・複製をめぐる主な考え方注意点
日本類似性と依拠性依拠性は単なるアクセス可能性ではなく、既存作品をもとに創作したかが問題になる
韓国의거관계(依拠関係)と 실질적 유사성(実質的類似性)접근가능성(アクセス可能性)は依拠関係を推認する事情になり得るが、両者は同じ概念ではない
台湾接触と実質的類似作品の複製・盗用が問題となる場面で用いられる考え方であり、すべての著作権侵害に共通する要件ではない
米国アクセス、複製を示す証拠、類似性、保護される表現裁判管轄や作品の種類などによって分析方法が異なり、「アクセス+実質的類似性」を全米共通の単一公式とはいえない
中国関連する裁判例で接触と実質的類似裁判上の分析で用いられるが、すべての著作権侵害について法律が定めた一律の二要件と表現するのは適切ではない

日本では「似ているか」だけでなく依拠性も確認する

日本で既存作品の利用が争われる場合、作品同士の類似性だけを切り離して判断するのではなく、後の作品が先行作品に依拠して作られたかも問題になります。

依拠性を検討する際には、創作者が先行作品を知っていたか、接する機会があったかなど、個別の事情が証拠として意味を持つ場合があります。

ただし、「見ることができた」という事実と「その作品をもとに創作した」という事実は同じではありません。

韓国にも似た概念があるが、単純な翻訳はできない

韓国の著作権侵害判断でも、의거관계と실질적 유사성が重要な概念として扱われます。

アクセス可能性は依拠関係を推認するための間接的な事情となり得ますが、アクセス可能性そのものを依拠関係と同一視することはできません。

日本の依拠性と機能的に近い部分があっても、それぞれの法制度や裁判実務を無視して同一のテストとして扱うべきではありません。

台湾や中国では「接触」と「実質的類似」が使われることがある

台湾では、後の作品が先行作品を複製したかが争われる場面で、「接触」と「実質的類似」という考え方がよく用いられます。

中国でも、関連する裁判例では接触と実質的類似を用いた分析を見ることができます。

しかし、同じような言葉が使われているからといって、日本の依拠性と同じ意味になるわけではありません。また、台湾や中国でも、これらをあらゆる著作権侵害に共通する一律の公式として扱うことは適切ではありません。

米国では裁判管轄や作品の種類によって分析方法が異なる

米国の著作権訴訟では、アクセスや作品間の類似性が複製を判断する証拠として問題になることがあります。

一方で、実際に保護される表現が法的に問題となる程度に利用されたかという分析も必要です。

そのため、「アクセスと実質的類似性があれば侵害」という一つの公式を日本に置き換えて理解するのではなく、各国がどのように「既存作品の保護される表現を利用したか」を判断しているのかを見る方が適切です。

生成 AI、画像編集、文章の書き換えは著作権侵害になる?3つのリスク

生成 AI を利用しただけで著作権侵害になるわけではありません。

一方で、AI を使ったという理由だけで、既存作品との著作権上の関係がなくなるわけでもありません。

実務上は、既存作品を AI に直接入力した場合、既存作品を参考に生成・書き換えをした場合、元作品を直接入力していないのに似た生成結果が出た場合を分けて考えると整理しやすくなります。

リスク1:他人の作品をAIに直接入力すると、複製や翻案などが問題になる可能性がある

例えば、ウェブ上で見つけた他人のイラストを生成 AI に入力し、人物や背景を変更したうえで、その生成結果を自社サイトや商品ページなどで利用するケースを考えてみましょう。

この場合、「AI を使った」という一つの行為だけを見るのではなく、既存作品を AI に入力する段階、AI を使って変更・生成する段階、生成結果を利用する段階を分けて確認する必要があります。

具体的な操作によっては、既存作品の複製や翻案などが問題となる可能性があります。さらに、生成されたコンテンツをウェブ上で利用する場合には、その利用方法に応じて公衆送信など別の権利が問題となることもあります。

ただし、他人の著作物を AI に入力したという事実だけで、常に著作権侵害が成立すると結論づけることはできません。

著作物の内容、実際の利用行為、許諾の有無、適用される権利制限規定などを確認する必要があります。

リスク2:既存作品を参考にした画像やAIによる書き換えでは、保護される表現を確認する

AI で新しい画像を作るとき、既存のポスターやイラストからテーマ、構図の方向性、雰囲気などを参考にすることがあります。

同じテーマやアイデア、一般的な作風の方向性を参考にしたというだけで、直ちに著作権侵害になるわけではありません。

一方で、元作品の具体的で創作的な表現が生成結果に利用されている場合には、著作権上の検討が必要になります。

文章の書き換えも同様です。

例えば、既存の記事を AI に入力し、「短くして」「別の言葉で書き直して」と指示したとしても、単に語句や文章の順序が変わったという理由だけで安全になるわけではありません。書き換え後の文章に、元の記事の保護される表現がどのように残っているかを確認する必要があります。

特定の利用について引用などの権利制限規定が適用されるかどうかは、別途その要件に沿って検討します。

リスク3:元作品を直接入力していなくても、似た生成結果が出た場合は個別判断が必要

生成 AI の難しい問題の一つが、ユーザー自身は特定の既存作品を直接入力していないのに、その作品とよく似た画像や文章が生成された場合です。

ここでは、二つの極端な結論を避ける必要があります。

元作品を直接入力していないからといって、著作権上のリスクが必ずなくなるわけではありません。

一方で、生成結果が既存作品と似ているという事実だけで、直ちに著作権侵害が成立するわけでもありません。

日本でこの問題を考える場合も、生成結果と既存作品の類似性だけでなく、依拠性を含めて個別の事情を検討する必要があります。

生成 AI に関する日本の公的な考え方では、ユーザーが既存作品を知っていたか、プロンプトに作品名や固有名詞などを入力していたか、生成 AI と既存作品との関係、生成結果の類似性などが、依拠性を検討する際の事情となる可能性があります。

ただし、特定の作品が学習用データに含まれていた可能性があることや、プロンプトに作品に関係する言葉が含まれていることだけから、直ちにユーザーの依拠性や著作権侵害を認定できるわけではありません。

一方で、実際に当該著作物が生成 AI の学習用データに含まれていた場合については、文化庁の公的な整理では、当該著作物への客観的なアクセスがあるものとして依拠性が認められ得るとされています。ただし、学習された著作物がそのまま生成されないための技術的措置が講じられていることなどを反証し、依拠性が否定される場合もあり得ます。

具体的なプロンプトの内容や生成過程に関する事情は、個別の事案では証拠として意味を持つ可能性があるため、一律に無関係ともいえません。

そのため、AI に特有の新しい一律の侵害テストを作るのではなく、既存作品との関係、類似性、依拠性、保護される表現などを具体的な事実に即して検討することが重要です。

なお、生成された画像や文章自体が著作物として保護されるか、誰が権利を持つのかという問題は、AI生成物の著作権に関する別の論点となります。

生成AIを利用する際の著作権リスクについて、他人の著作物をAIに入力する場合、既存作品に依拠して生成・書き換えを行う場合、原作を直接入力せず類似した結果が生成される場合の3つの場面を整理した図。

著作権侵害が成立すると、どのような責任が生じる?

著作権侵害が成立した場合、民事上の請求が問題になることがあります。また、一定の要件を満たす行為については刑事責任が問題となる場合もあります。

ここで重要なのは、著作権侵害に当たる行為がすべて当然に刑事事件になるわけではないという点です。

どのような民事上の救済が認められるか、損害賠償をどのように算定するか、どのような行為に刑事罰が科されるかといった詳細は、それぞれ具体的な法的要件を確認する必要があります。

この記事では、侵害の判断方法を中心に扱うため、損害額や刑事責任の詳しい要件までは扱いません。

著作権侵害を指摘されたら?最初に確認したい3つのステップ

著作権者や代理人などから警告や侵害の指摘を受けたからといって、その時点で裁判所が著作権侵害を認定したことになるわけではありません。

一方で、単なる連絡だと決めつけて内容を確認しないまま放置するのも適切とはいえません。

まず、誰から、どの作品について、どの利用行為が問題だと指摘されているのかを整理します。

以下の3つのステップは、すべての著作権紛争について法律上義務づけられた手続ではなく、初期対応を整理するためのリスク管理上の考え方です。

ステップ1:利用状況を確認し、関連する記録を保存する

まず、問題となっているコンテンツの公開・利用状況を確認し、そのコンテンツがどのように作られたのかを確認できる資料を保存します。

例えば、元ファイル、制作途中のデータ、編集履歴、素材の入手元、購入記録、ライセンス、メールやメッセージ、公開時期などが考えられます。AI を利用した場合には、必要に応じてプロンプトや生成履歴なども確認できるようにしておくと、後から制作過程を整理しやすくなります。

状況によっては、確認が終わるまで問題となっているコンテンツの公開や利用を一時的に停止することも、リスク管理上の選択肢になります。

ただし、これはすべてのケースで法律上直ちに削除しなければならないという意味ではありません。また、公開を停止することと、元データや制作記録を削除することは別です。

ステップ2:何が侵害だと主張されているのかを確認する

次に、相手がどの著作物について、どの権利が侵害されたと主張しているのかを確認します。

あわせて、自分がその素材をどこから入手したか、どのように利用したか、利用許諾がある場合にはその範囲に含まれているかを整理します。

作品が似ていることを理由とする主張であれば、単に見た目の印象だけでなく、保護される表現、類似性、依拠性など、この記事で説明した判断ポイントに戻って確認します。

引用などの権利制限規定が関係する場合には、その適用要件を別途検討する必要があります。

ステップ3:回答、利用方法の変更、交渉など次の対応を検討する

事実関係を整理した後は、相手の主張内容や利用状況に応じて、回答する、利用方法を変更する、許諾の有無を確認する、必要な許諾を得る、相手の主張を争う、交渉する、専門家に相談するなどの対応を検討します。

適切な対応は、相手から届いた文書の内容や、求められている対応、期限、利用規模、事業への影響などによって異なります。

したがって、「回答しなければ侵害を認めたことになる」「すべてのケースで直ちに削除しなければならない」「必ず和解すべき」といった一律のルールとして考えるべきではありません。

金銭請求が大きい場合、事業上重要なコンテンツが問題となっている場合、訴訟など正式な法的手続に進んでいる場合には、弁護士などの専門家への相談も検討する必要があります。

AIで創作方法が変わっても、著作権侵害は個別の事情から判断する

生成 AI によって、文章の作成、書き換え、画像生成、画像編集などの方法は大きく変化しています。

しかし、AI を使えば著作権の問題がなくなるわけではありません。

既存作品を直接 AI に入力する場合でも、参考にして新しいコンテンツを生成する場合でも、元作品を直接入力せずに似た生成結果が生じた場合でも、作品の出所、保護される表現、実際の利用行為、許諾、権利制限規定、既存作品との関係などを個別に確認することが重要です。

GenApe では、AI による文章生成、文章の書き換え、画像生成、画像編集などをコンテンツ制作のワークフローに活用できます。その際も、素材の出所や実際の利用方法を整理しておくことが重要です。

GenApe を利用したという事実だけで、特定のコンテンツが著作権侵害に当たるかどうかが決まるわけではありません。具体的な作品、利用行為、権利関係や個別の事実に基づいて判断する必要があります。

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